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2021/09/22 11:52

ドラクロワの文庫ブックカバー 


ブックカバーの説明と行きたい所ですが、

毎回説明しているのでドラクロワの描く、この


Delacroix-Liberty Leading the People 民衆を導く自由の女神
について調べていきましょう。

どこから説明しよか悩む絵ですよね。


例えば、これは市民革命ではなく7月革命だとか。
例えば、なぜ胸を出す女性が民衆を引っ張っていくのかとか。
例えば、この絵は今までの画家たちが描く過去や伝説のモチーフから離れ

現代の今を描くスタイルになっていることとか?


順番に説明していきましょう。
上流階級のブルジョワが体制の不満から1789年フランス革命を起こし、そこから何回も暴動が起き、



ルイ16世とマリーアントワネットが処刑され王政が終わるわけですが、

これもまた続かず何度も同じことを繰り返し、ナポレオンがイギリスと戦ったトラファルガの海戦



とうとう1830年に市民階級の不満がパリの民衆たちをも立ち上がらせ、フランス7月革命が起こり襲撃を始める。



それがこのドラクロワが描く『民衆を導く自由の女神』です。

さぁ、そこで疑問が浮上しますよね。民衆が立ち上がるのに、しかも胸を出した女性が先導をなぜ取るのか??


この時代、こういう女性の裸が描かれる絵をロマン主義といって、実在はしない女神を描いたりする時、神だから服を着ていないという考えから、いつしか存在しないもの=胸を出せばいいという発想になったようで。ここはドラクロワの意図を感じますよね!!

民衆を引き先導をする。この時代で女性が引っ張っていくというのも。。。
無いですよね。


空想の人物。フランスのシンボルであるフランスを擬人化したイメージの自由の女神マリアンヌの姿。

自由の女神に服を着せてしまっては架空にならない。だから胸を出すという考え。
そういうことかと思いつつ、納得し難いというか。
ニューヨークにある自由の女神も同じモデルのマリアンヌなんですが。はだけてないじゃん!って突っ込んじゃダメ?

さて、話を戻し、3つ目について。

例えば、今までの画家たちが描く過去や伝説のモチーフ(宗教)から離れ、現代の今を描くスタイルになっていることとか?

今まで画家が描く絵というと神話か肖像画でした。
写真を撮るようにポーズをとっているから、絵のタッチも何色が使われているかわからない、筆で書いたかもわからない滑らかさが売りでした。

さぁ、新しい技法が来ましたよ!!
もちろん新しいことには風当たりもあります。いいと思う人もいれば、雑だ!という人もいたでしょうね。

ドラクロワは、理想を掲げた絵を嫌い、当時支流だった新古典主義の画家と激しく対立していました。

もう宗教の絵なんて描いてないで、今の現実を見よ!


そして、戦争をテーマにした絵を描くことで

『祖国のために敵を打ち破ることはできなかったとしても、少なくとも国のために作品を描くことはできる』

と考えていました。

ドラクロワは色を重ねて豊かな色彩と動きを出すために、筆の線を荒々しく残すことにより、今にも動き出す臨場感を伝える手法を使っていったのです。

これはのちの印象派と言われるゴッホやモネ、ルノワールたちに大きく影響を与えます。



前回少し触れましたが、たとえば、ダ・ビンチの描いたモナリザ。




筆を使ったのかも分からない、輪郭のない滑らかなタッチで色の境界線をぼかして柔らかく描くスフマートと言う技法を使っていました。

なに色を使ったのか分からない、重ねて色を表現するのではなく、その色を作って塗っていく。

たぶん、今の女性が顔にファンデーションを塗っていく感覚に似ているんじゃないかと自分は勝手に想像しています。

そんな綺麗な絵が支流の新古典主義者に言いたかった。


もっと描くものがあるだろう!

事件は会議所で起きているんじゃない!

事件は現場で起きているんだ!と言う気持ち。あれ?なんか違うの入ったな…。


でもね、自分も一緒に戦い、そしてその勢いを描くことで立ち上がった市民達の勇士を伝えたかったんだと思います。


色彩の魔術師と呼ばれ、光と影を捉えて動きをより鮮明に描き、すぐにでもこの自由の女神が絵から出てきそうな躍動感を感じさせる描き方。そんな絵を見た後世の画家達は自分たちもこの光や動きを感じれる絵を描きたいと思ったと思います。
私達もこの躍動感を感じるから惹かれるんでしょうね。


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